世界的パンデミックを起こしたCOVID-19。もちろん例外なくルワンダにも上陸し、2020年3月30日時点の感染者は70名とのこと。現在は不要不急の外出は禁止、貨物を除く国際線の欠航、食料品や日用品を売る店以外は閉店、レストランはテイクアウトのみという措置が取られている。これらの措置はもはや世界的には珍しくない一方、フードデリバリーやオンラインショッピング、ネットバンキングが奨励されたことはいかにもIT立国を目指すルワンダらしい。
参考:3/19保健省発令 https://www.facebook.com/…/a.16246291176…/1778281455642191/…
また、ルワンダに来たことがある方なら必ず記憶にある大量のバイクタクシーは、接近接触を防ぐ対策として上記の措置と同時に利用が禁止されている。少ない医療リソースを圧迫させないよう感染拡大を防ぐ措置としては正しい一方、バイクの登録台数とニアリーイコールの約9万人が失職状態にあるとも言え、感染そのものの恐怖よりもこうした社会的制圧の反動の方が恐ろしいことは容易に想像がつく。そしてルワンダはこの流れのまま4月上旬のジェノサイドメモリアルウィークを迎えそうだ。気が抜けない日々はまだまだ続くだろう。
途上国と先進国のリスクの差
病気そのものに対する感染リスクと、感染拡大防止対策に対応して発生する社会的リスク。
今や日本でもそのリスクに対してどう対応するか各社、各自が頭を悩ませているところだと想像するが、途上国との圧倒的な差はその「程度」にある。
感染者は拡大を防止するため医療機関に隔離されることになるが、ただでさえ入院床数が限られている上に、医師の数も少ない。加えて未だ世界的に確定情報がなく複数いると噂されている謎なウイルスに対する知識のトレースは、有事の行動マニュアルや情報共有方法が確立されているはずの先進国でも難しいのであれば、途上国は言うまでもない。
さらには病院設備も外国人の目から見て「整っている」とは言えず、外国人が入院することになれば病気以上に精神的不安が大きくなり余計容体が悪くなる可能性も否めない。感染リスクですらも病気そのものの怖さよりも環境が整っていないことによるダウンサイドが大きいことが問題だ。
社会的リスクの方は知識が乏しいことによる不安からの極端な行動により発生する問題と、失職や減給を余儀なくされた人々の生活が徐々に困窮することによる治安の悪化が懸念される。
ここに関してルワンダ政府は、効果の薄いマスクなどの医療品の使用意味に関するアナウンスを発出したり、不当に高額な消毒液などを販売する業者に警告を出すなど対応しており、さらに、物流を止めず、必要最低限の飲食・日用品販売業と銀行や携帯キャリアなどの金融機関の営業を認めることにより、なんとか平穏を保っている印象だ。
他国では、「買い物の列に並んでいるとゴム弾を打たれる」「街中で咳をしたアジア人が集団リンチされる」など、嘘か真かわからないニュースが流れるなどカオスな国が多いアフリカだが、ルワンダにおいては幸い政府の徹底性により今のところなんとか秩序が保たれている。
強い政府の努力と徹底性による秩序の維持が、徐々に経済が衰え人々の生活が困窮するなか、どこまで可能なのか、どこでバランスを取るのか、今後の動きに注目したい。