【ケニア・ウガンダ出張シリーズ⑤】『自分のリソースを上手く使ったビジネスを ~Minami Uganda Solutions木村さんにインタビュー~』

2020.3.12

この度E-gatesでは、「読者の方にアフリカビジネスの現場をもっと知ってもらいたい」という想いから、東アフリカの第一線でご活躍されている方々にインタビューを実施しました。分野は農業から外食、モビリティまで、内容はアフリカの潮流から人事まで幅広く取り扱っております。第6回にわたるシリーズ編でお送りいたしますので、ぜひご一読ください!


第五回目は、日本の自動車学校から独立し、ウガンダで自動車関連事業を立ち上げた木村さん。常に新しいことに挑戦したいというその姿勢に刺激をもらいました。


―木村さん、初めまして。本日はよろしくお願い致します。

まず初めに、木村さんが行っている事業について簡単にご説明頂けますでしょうか。


私が現在行っている事業は2つです。


1つ目はウガンダの自動車法の整備で、今年JICAの案件化調査に採択頂きました。


ウガンダでは半数以上が賄賂を支払って免許を取得しています。
賄賂による免許取得が少なくなるよう、政府と協力して運転免許試験を改善しようと活動しています。


2つ目は車のリースです。ドライバーの育成も行っています。


ウガンダではUberドライバーの給与が高いため、ドライバーとして働きたい人が多いです。ただ、そのような人々はお金も車もないため、機会提供の一手段としてリースを行っています。車を貸し出し、ドライバーに毎週一定の金額を支払ってもらいます。4年の支払いが終了した時点で車は買取となり、ドライバーは車と一緒に独立します。


ウガンダに新しい選択肢を増やすことで、ウガンダの、ウガンダの人々の成長に貢献したいと思っています。


―ありがとうございます。ルワンダから来た身としては、ウガンダの渋滞に非常に驚きましたが、渋滞の一つの原因として、賄賂による免許乱発があるのかもしれませんね。

―なぜ、ウガンダという国を選んだのでしょうか。

勤めていた自動車学校から独立しようと思い、海外で事業を展開できる場所を探していました。そのなかで、アフリカの情報は日本にいても入ってこないことに気が付き、住んでビジネスチャンスを探ってみようと思い、移住しました。そうしたら、ウガンダで自分のリソースを上手く使ったビジネスが出来そうだと感じたんです。ケニアやルワンダはモータリゼーションのレベルがウガンダに比べてすでに高いです。具体的に言うと、車の台数が増えて渋滞という問題が発生し、それを解決するために先進国に倣ってインフラを整えようという段階です。ウガンダはまだそのレベルが低く、ちょうど渋滞が発生し始めた段階なので、日本のノウハウを教育する需要があると思い、この国を選びました。

―なるほど。自分のリソースを生かせる国を選ぶことは、どのビジネスにおいても非常に重要だと思います。

―お仕事をするうえで気を付けていることは何でしょうか。

一番大切にしていることはドライバーと対等な関係でいることです。自分が雇われているという意識の下では、自分で考えることを止めてしまいます。独立した時に自分がオーナーであるという意識持っていてほしい。そういう想いがあるので、雇用者/被雇用者の関係ではなく、できるだけ対等な立場に立ち、相手の意見に耳を傾けるようにしています。

―私自身、ローカルスタッフと一緒に働いているのですが、彼らは言われたことは素直に聞き入れすぐに実践してくれるのですが、自分で考えてより良くしようという意識は低いと思います。そこをどうやって自分で考えて行動できるように行動するかは、非常に難しいことではありますが、そこができるようになると会社の大きな強みになるし、国の発展に大きく貢献すると思います。

―私の勝手な印象ですが、現地の人々は銀行口座を持っていないなどの理由から、貯蓄が苦手なような気がしています。実際に毎月支払いを続けられているのはどのくらいいるのでしょうか。

半年間、支払いを続けられるのは2割程度です。

これは私の感覚ですが、暑い国の人は一生懸命働かないと思うんです。働かなくてもフルーツなどが勝手になって生きてはいけるから。逆に寒い国の人は自分で働いてお金を稼がないと生きていけないため、一生懸命働くんです。そしてウガンダは前者。死に物狂いで働くという精神があまりないです。なので支払いも滞ってしまうのかなと感じています。

―なるほど。言われてみるとそうかもしれませんね。その他にも大変なことはありますか。

大変なことは信じたいと思っているのに騙されることですかね。騙されないためにも堅実なシステムを構築しそれに沿った運用を意識しています。それでもぜろにすることはできないので、割り切ることも必要です(笑)

また、日本人の感覚だとイラっとすることもありますが、イラっとしたところで何も状況は変化しないので期待しすぎないようにはしています。

―ウガンダでは女性ドライバーがなかなか浸透しないと聞きました。理由を聞かせていただけますか。

理由は主に2つあります。

1つ目は男/女の仕事という意識が未だに残っているから。運転は男の仕事という考えが未だに根付いていて、女性ドライバーを良く思わない人も多くいます。

2つ目は密室空間に問題があるからです。先日、Uberが乗車中の性犯罪の数を発表しました。乗客であってもドライバーであっても、女性が男性と密室空間で2人きりになることは犯罪のリスクが高まるので、女性自体もあまり好みません。とはいえ、ドライバーとして活躍したいと夢を持ってやってくる女性もいるので、もっと女性がドライバーとして活躍できる社会になればいいなと思います。

―解決するのはなかなか難しい問題ですが、ドライバーとして働きたい女性がいるのであれば、彼女たちが安心してドライバーとして働ける社会になるといいですね。

―アフリカに来て、得たと思うスキルは何でしょうか。

課題解決能力だと思います。トラブルが毎日のように発生するので(笑)つい3日くらい前も、あるドライバーからの支払いが止まり、音信不通になったので、GPSで調べたところ、牢屋にいました(笑)日々発生するトラブルを解決しないと前進できないので、課題解決能力は必要なスキルでもあり、また、身に付くスキルだと思います。

―その通りですね。私たちの従業員も牢屋に入れられて音信不通になっていた時期がありました。これはアフリカあるあるかもしれないですね(笑)

―最後に今後の展望をお聞かせください

今後は、ヨーロッパや中東など何か国かでビジネスをしていきたいと思っています。
また、同じことをやるよりもどんどん新しいことに挑戦したいです。

―本日は貴重なお話をありがとうございました!

アフリカで起業するのはアフリカが大好きな人、という固定観念があったのですが、木村さんを見てそうではないのだと気が付くことができました。ウガンダの自動車法が整備され、より暮らしやすい社会になることに期待です!