【ケニア・ウガンダ出張シリーズ④】『関わっている全ての人で「YAMASENの日本食」を創りあげる ~YAMASEN宮下さん・山口さんにインタビュー~』

2020.3.5

この度E-gatesでは、「読者の方にアフリカビジネスの現場をもっと知ってもらいたい」という想いから、東アフリカの第一線でご活躍されている方々にインタビューを実施しました。分野は農業から外食、モビリティまで、内容はアフリカの潮流から人事まで幅広く取り扱っております。第6回にわたるシリーズ編でお送りいたしますので、ぜひご一読ください!

第4回目はウガンダで日本食レストランを営む宮下さん・山口さんご夫妻。

おいしいお寿司を頂きながら、従業員のマネジメントについてお話ししてくださいました。


―宮下さん、山口さん、初めまして。本日はよろしくお願い致します。
まずはじめに、ウガンダで日本食レストランを始めることになったきっかけを教えていただけますでしょうか。

きっかけは私(宮下さん)が2012年~出張ベースでウガンダに来るようになったことです。その後、2014年にウガンダへ移住、2017年に会社を立ち上げました。ウガンダは選んだわけではなく、ご縁という感じです。

―そうなんですね。ありがとうございます。レストランビジネスと言うと、料理のお味だけではなく、空間や従業員の振る舞いなど全体の調和を非常に大切にしている印象を抱くのですが、従業員のトレーニングはどのように行っているのでしょうか。

ここで働くミドルマネジメント層の従業員には、お客様の気持ちを体感してもらうためにウガンダの高級レストランに連れて行きます。そのようなレストランでは海外の方が主なお客様であることが多いため、ウガンダ人である彼らが訪れると、ウガンダ人であることが原因で適当にあしらわれることもあるのです。彼らにとっては辛い体験かもしれませんが、そのような体験を通じて、接客業において大切な事を学び日々の業務に活かしてもらうようにしております。

また、研修ではパワポを使うのですが、ほとんど全員がパワポに書いてあることをすべて書き写そうとします。ウガンダの教育では、「覚えさせること」に重点が置かれているからだと思います。幼いころからそのような教育を受けてきて考えることをしないため、従業員の中から新しいものが生まれてきにくいです。どうしたら自分で考えられる人材を育成できるのか。そこは今でも模索中です。

―そうなんですね。非常に興味深いです。確かにルワンダ人も、言われたことは忠実にこなせるけど、応用を効かせることができない人が多いように感じます。就職競争率が高いアフリカで、必要とされるのは「自分で考えることのできる人材」かもしれませんね。

ートレーニングを終え、見事働き始めた従業員の皆さんのマネジメントをするうえで、気を付けていることは何でしょうか。

気を付けていることというよりは実践していることなのですが、給与を他のレストランの平均よりも高めに設定して責任をもって仕事をしてもらえるよう心がけております。

また、キッチンとホールのスタッフの給料を同じにしています。ホールも良いサービスを提供する一つの技術職であるという自覚を持ってもらうためです。

実はそこで問題が発生しました。キッチンスタッフも他のレストランに比べて良い給与をもらっているにも関わらず、ホールスタッフと同給与はあり得ないというプライドから、辞めてしまう人が出ました。理解してもらうには時間がかかりそうですが、この方針は今後も続けていきたいと思っています。

同様に、通常はホールスタッフの懐に入るお客様からのチップですが、私たちはキッチンスタッフも含めて全員で分けるようにしています。

ホールスタッフはテーブル担当制度を取るのが常なのですが、そうすることで自分の担当以外のテーブルに注意がいかなくなり結果サービスレベルが低下することになります。それを避けるために、担当制度を廃しスタッフ全員で全フロアをカバーするようにしております。つまりチップは個人に対してではなくレストラン全体に対しての評価ということになります。ここでレストラン全体を構成しているのは料理であり、清潔さでもあるわけで裏方業務も含め弊社では全スタッフでチップを平等に分けることにしております。

個人の評価は会社から一年に一回の査定を通して反映しております。


―ご丁寧にありがとうございます。給与に関する問題は尽きないですよね。
私たちも遅刻したら減給という制度を採用しています。アフリカンタイムと言われるほどアフリカ人は時間を守らないことが多いとされていますが、そういった些細なことが勤務態度やモチベーションに影響を与えると実感しています。

―従業員の方にとって、日本食や日本文化に触れる機会は少なく、理解してもらうのに時間を要すると思うのですが、どうでしょうか。

たしかに彼らが日本食や日本文化に触れる機会は非常に少ないです。しかし、私たちは彼らの中に定義がない分、彼らと一緒に定義を作り上げるようにしています。

それはお客様に対しても同じです。

自国で食べている日本食がお客様とっては日本食なため、我々の提供するものがお客様の求める日本食と違うこともあります。

日本食に正解も不正解もないため、経営者、従業員、サプライヤー、お客様など、関わっている人全員の共同作業でYAMASENを作り上げていく。これを意識しています。

―日本人にとっての「日本食」を押し付けるのではなく、関わっている人すべてで「YAMASENの日本食」を作り上げていこうというその姿勢に非常に感激を受けました。本日はお忙しい中ありがとうございました!

インタビュー中も、常にスタッフの様子を気に配り、また、小さな疑問でも従業員の方がお二人のところに質問しに来る様子を見て、お二人と従業員の間に強い信頼関係が構築されているのだと感じました。

ウガンダに行かれる際には是非YAMASENさんでお食事を!

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