【エジプト・エチオピア出張シリーズ②】 アフリカ2カ国比較~エジプト&エチオピアの共通点と相違点~

2019.12.7

エジプトとエチオピア、意外な共通点がある一方、経済発展では大きく様子が異なる2カ国。

概況、出張訪問時の実感ベースそれぞれの視点で2カ国をまとめました。

一般概況

国土面積:エジプト→100万㎢/エチオピア→109.7万㎢
人口:エジプト→9,842万人/エチオピア→1億922万人
民族:エジプト→主にアラブ人
   エチオピア→オロモ族,アムハラ族など約80の民族
主な産業:エジプト→製造業,石油・天然ガス,小売・卸売,農林水産業
     エチオピア→農業

経済概況

GDP:エジプト→2,860億ドル/エチオピア→843億ドル
経済(GDP)成長率:エジプト→5.3%/エチオピア→6.8%
Doing Business Ranking:エジプト→114位/エチオピア→159位
貿易収支:エジプト→輸出276.2億ドル,輸入720億ドル
エチオピア→輸出28.6億ドル,輸入146.9億ドル
主な取引相手国:
エジプト→輸出 EU,アラブ諸国,アジア諸国,米国
      輸入 EU,アラブ諸国,アジア諸国
エチオピア→輸出 中国,ソマリア,米国,サウジアラビア,ドイツ
      輸入 中国,米国,インド,日本,イタリア,トルコ

外務省HP・WB Data baseより
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/egypt/data.html#section1
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ethiopia/data.html…
https://www.doingbusiness.org/en/rankings

エジプトとエチオピア〜1億人市場の外貨獲得戦略〜

<エジプト> 
2011年の「アラブの春」以降低迷したが、現政権の外交策により各国との信頼を回復し成長率2%前後→5.4%と順調な経済発展を遂げている。
また外国投資は増加傾向にあり131億9,200万ドル。
産業はエネルギー、不動産開発業、主な投資国はEU諸国とアメリカ。
またIMFによる総額120億ドルの融資や海外労働者送金が増加するのに加えて、地中海沖ガス田開発も進み、さらなる外貨獲得が期待されている。

<エチオピア>
政府がインフラ整備、産業政策に力を入れ、過去10%内外の経済成長を記録している。
その一方で、国外投資には最低20万ドルが必要で、国内投資家とパートナーシップを締結している場合でも、15万ドルという高額な資本金が必要となる内資重視の政策により投資額は1億6,300万ドルにとどまる。
外国投資産業は繊維・縫製で、主な投資国は中国、イギリス、インド。
そこに新たにエネルギー分野が加わり、アメリカ企業による総額40億ドル規模の投資が見込まれている。

両国とも着実に経済発展をしている部分では共通していたが「外貨獲得戦略」の部分では大きく異なっており、その差が如実に現れている印象を受けた。

実際に訪れて

<街の雰囲気>
エジプトは想像していた以上に大都会で人も多く活気があり、建設ラッシュが進み急速に発展しているのが一目瞭然。
また日本とほとんど変わらない大型のショッピングモールには、世界的に有名なチェーン店が出店するなど、一部では先進国と変わらない住環境があるのがわかる。

他方、エチオピアはコーヒー発祥の地ということもあり道端にコーヒーの露店が並びでローカルな雰囲気が残っている。エジプトに比べると大規模な開発も進んでおらず、こじんまりとしてゆるやかな発展を遂げている様子。

<人柄>
エジプト人は社交的でおしゃべり好き。エチオピア人はとにかく物静かで穏やかな印象。エチオピア人はどこかルワンダ人に似ている。

<気候>
エジプトの2月平均気温は15.1℃。
暑いイメージをもっていたが、さすがに冬は寒い。。
エチオピアの首都アディスアベバの標高は2,400m(富士山6合目相当)。坂道を歩くと息切れするくらい空気が薄い。
空が近いせいか日が出るとポカポカと暖かくとても快適。
両国とも湿気が少なくカラッとしていて過ごしやすい。

実際に行ってみると、その国の印象はまた全く違い、エジプトは古代と近代の融合した大国、エチオピアはミステリアスな雰囲気に包まれた異国の様だった。

エジプトは今後も急速な発展を見せるだろう。
そしてアフリカを牽引する大国なることは間違いない。
エチオピアは今は一歩一歩前進している状態だが、いつか一気に前進する時が来る気がする。

悠久の歴史を持つこの2国が、これからどのように歩んでいくのか、今後も注目してきたい。