【Africa Column Vol.8】
『アフリカの奇跡~ルワンダのCOVID-19対策~』
日本が世界から「不思議な国」と認識されている最中、ルワンダは「強い政府」の強制力を発揮し、国内の感染状況は改善傾向にある。普段のことはさておき、今回ほどルワンダに住んでいて良かったと思ったことはない。
ルワンダ最新情報(5月20日時点):https://twitter.com/RwandaHealth/status/1262821068852559872?s=20
目次
政府の強制力が人々を鎮めた
ことの始まりは3月18日。突然2日後以降1ヶ月に渡る旅客航空便の全便停止が通達され、多くの外国人が取るものも取らずに空港に押しかける事態となった。その3日後の3月21日、突然当日の深夜から移動制限と営業規制を施行するとの発令がなされ、週末の買い出しもままならないまま週明けを迎えた。
途上国で営業する企業が週末だけでリモートワークに移行するのは、設備、キャパ、セキュリティなどあらゆる面から無理があり、やむなく週明けは出勤人数を制限して対応する企業が多かった。労働者側も今日明日の仕事でもらった現金で暮らしている人が多い中、急な休業は死活問題だ。
収入のない状態で給与保証ができる企業などごく一部にすぎないので、さすがに政府もそこまでは言わない。
とにかく働くしかお金を得る方法がないので、現地従業員のこういう時の仕事への意欲は並ではない。普段からこうならいいのに(笑)
弊社でも発令に従い、人数を制限し、従業員にはできるだけの備えをさせたが、それでも若干ハタチの彼らが「仕事に行く」ということが当局には「嘘をついている」と認識されるようで、我が社のエース達は1〜2時間の徒歩出勤中に7〜10回は警察に足止めされていた。
メイン商業エリアでは警察が蜂の巣のように裏道までくまなく規制線を張っており、違反をしているわけではないのにそのプレッシャーに数日で全員が疲れ果てた。
「完全に包囲されている」
どこかの漫画でしか見たことなかった状況がそこにはあった。
数日はなんとか理由を作って外出していた人々も、あまりの強制力に戦闘意欲を失い、「全てはコロナのせいで、自分にはどうすることもできない」と思うようになった。
幸い輸入品の多い内陸国で食糧調達を制限すると大混乱が起こることは政府も認識済みで、厳しい価格統制と食糧配給、小売と輸入業の営業許可で最低限の生活だけは守られた。
全力で行動制限しつつ重要なライフラインを確保し国民を危機から守らんとする政府の姿勢と、世界的にあまりに異常すぎる事態に人々は粛々と事態を受け入れている。素晴らしい強制力の結果だ。
資料:Ministry of Health Rwanda
負けない中国とアフリカの若者が未来を創る
こうして完全包囲された私たちだったが、困難な状況でも踏ん張り続けることができたのは、中国のおかげだ。
我々の取引先の一部は中国企業で、コロナは我々より前からもっとひどい状況にあったはずなのに、口では大変だと言いつつも、業務においては全く混乱振りを見せず、今日まで一切業務が止まっていない。
彼らは強い。素晴らしい強制力によるプレッシャーと世界的な異常事態のなかでも、対外的には通常営業を貫き、数日すれば困難さえも通常運転に変える。
アフターコロナで世界が衰退するなか引き続き中国が覇権を握り続ける説は堅いように思う。
混乱と強制力によるプレッシャーの中、地方都市の中小企業でも平常運転を貫ける強さがあるからだ。
また、アフリカの成長は先進国の影響を受けてしばらくは鈍化するが後退することはない。(と思う。)
なぜか。
首都完全包囲状態のなか1度の通勤で何度も心が折れたはずなのに、こちらから何のアドバイスをせずとも、住み込み営業の選択肢を提案し、たった数日で引っ越ししたのは若干ハタチの現地従業員の方だからだ。
乗り越えたはずの困難と自分たちの努力すらも平常運転になってしまいまた気が緩むのも事実であるが、一段と成長したのも事実である。
負けない中国とアフリカの若者が未来を創っていく。
一緒に創っていく明日が楽しみで仕方ない。
参考記事:Newsweek コラム
経済と命の比較がすべてを狂わせる
https://www.newsweekjapan.jp/obata/2020/05/post-54_2.php